イラストレーター　1997年中国武漢生まれ、神戸在住　神戸芸術工科大学大学院修了

 

作品画像1〜3は、作品群『食卓』シリーズ（全6点）のうちの3点。パンデミック期に着想し制作したものである。

長期間帰国できない状況において、実家の食卓をモチーフとして選択した。それは単なる生活の場ではなく、家族との関係や記憶を象徴する空間であり、物理的距離と心理的距離の対比を内包している。

制作においては、記憶を再構築するプロセスを重視した。幼少期の記憶と現在の視点を融合させ、「思い出す―感じる―表現する」という行為を繰り返す中で、無意識に存在する空間のイメージを視覚化した。形態・色彩・構図は、幸福感や安定感といった非物質的感覚を持続的に喚起し得るよう意図的に構成している。

本シリーズは、個人的経験を出発点としながらも、記憶の変容性とその視覚化の可能性を探る試みである。鑑賞者が自身の経験や感情と照らし合わせ、新たな解釈を導き出す契機となることを目指している。