2021年、寝ている時に夢の中で「油絵」というキーワードが浮かぶ。
目覚めてからも、なぜか頭の中に「油絵」という言葉が、強く残っており、
それがきっかけで人生で始めて油絵を描く。
以降、独学で絵を描き続けている。

 

私は、目には見えないけれど、確かに「そこにある」ものを描きたいと願っています。
それは、心の奥に広がる情景だったり、感情の揺らぎだったり、言葉にならない感覚だったり、
自我の輪郭だったり、世界に満ちるエネルギーのようなものかもしれません。

制作では、できる限り思考を介さず、直感と感覚に身をゆだねます。
下描きや習作は描かず、ぶっつけ本番で筆をとることで、偶然と必然が交差する瞬間をすくい取ろうとしています。

描いている間、私は描いているというよりも、何かを「通している」ような感覚になります。
まるで私の内と外を通ってきたものが、キャンバスの上に立ち現れてくるのを、見届けているような気持ちなのです。
そうして生まれた点や線は、風や呼吸、あるいは思念の流れのように、有機的で不定形です。
それらが人の内面に語りかけるような、観る人の感覚と共鳴するような場になればと思っています。

“different”とは、奇をてらうことではなく、「私にしか見えない世界を、私にしかできない表現に落とし込むこと」。
私の作品は、その問いに対する誠実な応答であり続けたいと願っています。

 

●作品画像１
45.5×53.0cm
Oil on Canvas
2025

 

●作品画像2
53.0×45.5cm
Oil on Canvas
2025

 

●作品画像3
50.0×60.6cm
Oil on Canvas
2025