CREATORS

劉 峻如

PROFILE

プロフィール
アーティスト

1999年中国大連うまれ、現在、京都在住

京都市立芸術大学 大学院 美術研究科 油絵専攻 修士2年 在学

作品について

わたしの出発点は、「家」と「安心感」の関係性を問うことにあります。個人的であると同時に文化的な問いです。


わたしは「家」について人とは違った考えてを持っています。中国で生まれ育、幼い頃社会環境の急激な変化や家庭の不安定さを経験しました。そのことが「家」という存在への疑問と執着を生み出しました。実際に家にいても「帰りたい」と感じてしまう。そんな矛盾した感情が制作を動機づけていますそのため、私が描こうとしているのは、現実にある家ではなく、記憶の中に潜む「安心・帰ることのできる場所」としての家です。それはもはや存在しない、あるいは実際には存在しなかった場所かもしれません。けれども心の深いところに確かにあるという感覚を抱いています。それはいつでも思い出すことができる「住処」です。


「住処」は、簡素な幾何形態表現されます。三角屋根や四角い壁は、子どもが初めて描く「家」共通するイメージでもあり、最も原初的なかたちであると同時に安心感を象徴しています。寒色を用いることで、かえって距離感の中に垣間見える「温かさ」や「静けさ」を求めています。色彩と形の検証を通して、記憶を呼び覚まし複雑な感情を静かに浮かび上がらせようとしています。


このテーマに取り組む中で、戸建て中心の日本の生活や他者との適度な距離感に強く影響を受けました。それは、母国で慣れ親しんできた集合住宅での集団主義的な生活様式とは対照的で「家」への憧れをいっそう強めてくれました。


冒頭で述べたように「家」が文化的な問題であるというのは、モンゴルのゲルや遊牧民のテント、キャンピングカー、船上の家屋など、(私なりの言葉を用いるなら)「漂浮する家」にも強い関心を持っているからです。これら移動するは、定住性と流動性、個の自由と共同体への帰属といった要素を内包すると同時に、「家」という概念に柔軟性と多様性をもたらします。それは「帰る場所」でありながら「移ろう存在」でもあり、その両義性に私は強く惹かれます。わたしの住処である「心の家」のあり方を探るために、家の存在様態の多様さに学ぶところは尽きません。


制作は、私にとって過去の自分との対話であり、内面を静かに見つめ直すプロセスです。絵の中の「家」が、わたしの居場所であるばかりか絵を見る人それぞれの記憶と感情を映し出す鏡となることを願っています。

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CAREER

経歴

1999年 中国大連生まれ


2018年 来日


2024年 京都精華大学芸術学部洋画専攻 卒業


2025年 京都市立芸術大学 大学院 美術研究科 油絵専攻 修士在学


受賞歴

2025年 ヨロコビto公募展 “ライフアートアワード” 入賞


2024年 京都銀行美術支援制度2024年度購入作品選抜


2023年 明日をひらく絵画 第41回 上野森美術館大賞展入選 一次候補賞


グループ展・個展

2025年 京都市立芸術大学 大学院修士課程 油画専攻「油画前期展2025」(京都)


2025年 特別展「開廊39のご挨拶」“39th.Greeting (voice gallery)(京都)


2025年 アート×ファッション「世界があらわれる」展TOUI WAKI GALLERY (大阪)


2025年 春の展覧会 プロムナード promenade (voice gallery) (京都)


2025年 京都市立芸術大学5人展in COCON KARASUMA (京都)


2025年 第3回 Corporate Art Aid Kyoto (京都)


2025年 2024年度京都市立芸術大学作品展 (京都)


2024年 京都市立芸術大学 大学院修士課程 油画専攻「OPEN STUDIO 2024」 (京都)


2024年 京都学生アートオークション 京都高島屋 蔦屋書店 (京都)


2023年 明日をひらく絵画 41 上野森美術館大賞展 (東京)


2023年 個展 「home of memory」香老舗 松栄堂 (京都)

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