PROFILE
プロフィール【ステートメント】
中谷大知 daichi nakatani
1983年生まれ、大阪府豊中市出身。平面や立体に関する造形を追求する活動を行なっています。平面ではオイルパステルを用いて色と形の重なりの多様性を表現しています。一級建築士として、設計事務所を運営しています。
Born in 1983 in Toyonaka-city, Osaka. I actively pursue figurative art related to two-dimensional and three-dimensional forms. In the two-dimensional works, I use oil pastels to express the variety of overlapping colours and shapes. As a first-class architect, I run an architectural design office.
建築の仕事をする傍ら、ある日、自分の手で描き出した何の意味も持たない自由な線に心を焚付けられました。 それを価値あるものと認識し、設計の「端正な線」と手描きの「無意味な線」のお互いの価値を構築するように、建築の仕事と創作活動を並行するようになりました。 オイルパステルを用いて、色と形の重なりの多様性を表現し、新しい価値を提示します。 その価値観が広く共有され、現代を生きる、またこれからを生きる人々の財産となる事を望みます。
【作品の説明】
作品名:untitled 制作年:2024年 素材:オイルパステル、紙、構造用合板 サイズ:1274mm×1274mm
今回の発表作品群は、支持体にて建築に於ける「モジュール」の概念を絵画という表現を用いて、分解・再構築して建築と絵画の関係性を表現しています。
※画像(左)は作品展示風景 ※画像(中央)は作品の正面写真 ※画像(右)は作品の正面写真
建築材料で用いる、長方形の構造用合板 910×1820mm(1:2の比率)を
- 額 1274×1274mm(1.4:1.4の比率)と
- キャプション 182× 182mm(0.2:0.2の比率)の二つの正方形に分け、作品の支持体にしています。
下記リンクにて説明用パズル画像あります。
https://x.com/daichinakatani/status/1800329597407711387?s=46&t=iEJgS9c-bcFs8z5REDHPPA
建築で使用する3×6モジュールの構造用合板を所謂、絵画の要素と考えられる「額」と「キャプション」に分解し再構築することで、建築から絵画へと物理的なモジュール変換を提示し、建築と絵画の関係性や思想的な歴史や文脈を表現しています。さらにその支持体に自信の絵画作品を重ねて展示することで、建築と絵画の歴史文脈の延長線上に、私の表現があることを提示しています。
絵画作品に関しては紙とオイルパステルを用いて制作しています。6枚の絵画で1つの作品としています。作品の素材である紙に関しては、元来の尺貫法に準じた紙のモジュールである四六判より、所謂、四切りサイズに統一して絵画の素材としています。
描いているこの同じ様な型の連続するモティーフは建築概念の一つであるメタボリズムの考え方を再解釈し、1つ1つが独立したunitとして存在するものの、それらが合わさって一つの集合体として存在する概念を絵画表現として提示しています。またそれら絵画が集合体単位、unit単位で増殖し展示展開する実験的な作品群となります。
私の絵画はオイルパステルを用いて制作しています。CAD図面に対して、オイルパステルを握る手描きによる表現が、身体的なストローク、修正できない緊張感、発色による色彩表現、なにかを描くことに対する純粋性、等それらが合わさり唯一無二のオリジナリティある表現へと繋がると考えています。モティーフそのものに意味は無く、作品のタイトルは全て「untitled」です。建築の仕事を通じて意味と数字を用いて表す図面を作成する日々の中で、建築士が意味のない線に価値を見出し、絵画として表現することが、ある意味では正確なモノから無意味なモノに変遷する様と解釈し、「写実性からの脱却」として絵画の歴史そのものと捉え、現代アートのその文脈上で成り立つのではないかと考えています。
ここで、今一度、私の作品制作に対する姿勢を記します。
「無意味な線に価値を見出した一級建築士」
普段は建築士として設計事務所を運営しています。全ての作品は建築の仕事と並行して制作しています。 建築の線は意思がそのまま図面に書き込まれ、現場に反映され現実に建物や構造物が出来上がって行きます。 すなわち、建築図面に於いて無駄な線など一つもなく全ての線は意味を持って端正に書かれています。 たとえ1cmの線でも縮尺1/100の図面では1mの壁ができ現場では様々な事象が連なって皆が行動していきます。 事務所ではデスクで図面を書き、振り返ればそこにオイルパステルが散らばっており、建築業務と絵画制作はほぼ同時進行で行っている状態です。 私は建築に於ける線の意味を求めるその過程で、無意味な線にこそ表現の本質を、さらにアートの可能性を見出しました。 建築士が無意味な線を描く行為とは、相対し両極に振れる取り組みとして、その行動がアートとして成り立つのではないかと考えました。 私にとって建築の仕事と絵画制作は振り子のように揺れ、お互いのバランスを取りながら前進しています。 意味と無意味の相反する行いは過程として同じ事であり、この無意味な線にこそ価値があるのだと感じた瞬間に、自身の手で描き出した作品に心を焚付けられたのです。 子供からお年寄りの誰もが使用できる素材として、紙とオイルパステルを用いて、誰にも描けない作品を制作したいと言う思いから、色と形の重なりの多様性を表現し、新しい価値を提示しています。 その価値観が広く共有され、現代を生きる、またこれからを生きる人々の財産となる事を望んでいます。
一級建築士 / アーティスト 中谷大知
話を作品についてに戻します。
例えば、私の本業である建築図面において、一般的に建築図面の作成はCADソフトを用いて行います、それは必要な図面の線をレイヤーに分け重ね合わせて作成します。これは、今日コンピューターの出現により、画像編集ソフト等を身近に使用する世代から、無意識にか意識的にかレイヤーという重ね合わせて画面を構成する手法が馴染み深くなり、それにより、今日の絵画の制作アプローチにもいくらか影響を与えいるのではないかと考えます。今回制作した絵画作品は当該レイヤーの概念を絵画にプロットさせて、一層目、二層目、三層目、四層目とイメージを重ね合わせて制作し階層的絵画として提示しています、また同じモティーフを連続して描くことは、ポップアートにより多用されたシルクスクリーン法に対する問いであり、数ある同じモティーフを手描きで制作し、シルクスクリーン法とは逆のアプローチにより制作することで、複製物の概念を問い、アウラの所在を明確にし、自身の作品性を追求しています。モティーフの検討はさらに発展し、上記添付写真以外の線形による表現へと繋がっていきました。参考画像として、下記にリンクを添付します。
参考画像1
https://x.com/daichinakatani/status/1801188868735312073?s=46&t=iEJgS9c-bcFs8z5REDHPPA
参考画像2
https://x.com/daichinakatani/status/1801560182121726023?s=46&t=iEJgS9c-bcFs8z5REDHPPA
以上が当該作品に対する説明となります。
さらに下記にて、昨年出版した中谷大知 印刷作品集「flat」の詳細を記します。
中谷大知 印刷作品集「flat」について
中谷大知は建築士です。製図や作図を通して、端正で機能的な線をひく傍、自身のもうひとつの表現として、オイルパステルを用いて意味や理由にとらわれない線を描き続けています。
これらの線たちは、これまで「絵画」として平面的なフォーマットに収まってきました。しかし、日々、建築/建設に携わる中で、自身が持つ背景に近い線の居場所や表現方法について深く考えるようになりました。そこで行き着いた一つの答えが製本と印刷です。
制作開始から一年半、原画作成→データ化→加工→印刷することで、実際のパステルにもデジタルにも見える自身の新しい表現を追求しました。それらが積層されたような本を作ることで、自身が持つ建築士と作家、二つの側面を混ぜ合わせたような作品集が生まれました。
「flat」は英語で平面や集合住宅を意味します。そして、本作はまさに自身の作品が住む集合住宅、連続するページを部屋に見立てた「線のための建築」と言えます。
これは、拡大解釈といえるかもしれません。しかし、実際に本はそのような考え方に向き合いながら制作しており、突き進んだ結果として多様な線がノビノビ暮らしているような、独自性の高い本が生まれました。
アートや建築はもちろん様々な角度からこの作品集を楽しんでいただけたらと思います。
(作品集出版記念展の展示紹介文より抜粋)
下記サイトにて、作品集のページ見開(一部)や装幀、仕様を確認できます。
https://okko-e.stores.jp/items/65bce23879443d2cb4c7c24e
以上、主に直近の発表作品である「untitled」及び、中谷大知 印刷作品集「flat」の紹介をいたしました。その他、自身のSNS等では私の過去の作品等、今までの活動等が閲覧できます。是非、ご覧ください。これら活動の全てが、私の表現するところの、造形の追求や、色と形の重なりの多様性に通じています。
その表現の可能性の限り、私は表現し続けていきます。
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CAREER
経歴【活動履歴】
2019年
Unknownasia Art Exchange Osaka 2019 に出展 「藤脇慎吾賞」「飯野マサリ賞」受賞
2020年
gekilin. select group exhibition " 20 page vol.1" に出展(osaka )
solo exhibition 「untitled」を開催(osaka )
Unknownasia 2020 ONLINEに出展 「藤脇慎吾賞」受賞
Independent Tokyo 2020に出展 審査員特別賞「小暮ともこ賞」受賞
2021年
gekilin. select group exhibition " 20 page vol.1" に出展(osaka )
solo exhibition 「untitled」を開催(osaka )
Independent Tokyo 2021に出展 審査員特別賞「田中千秋賞」受賞
UNKNOWN ASIA 2021に出展「中島ヒロト賞」「漆崎憲介賞」「西谷月彦賞」受賞
ゲストハウスでの企画展 relax (osaka)
2022年
第66回芦屋市展 平面部門 入選(hyogo)
solo exhibition 「untitled」を開催(osaka )
中谷大知・廣田くみこ展 待合室(osaka)
UNKNOWN ASIA 2022に出展 レビュアー賞受賞
企画展 ヴンダーカンマー展 (tokyo)
2023年
solo exhibition 「untitled」を開催(osaka )
Independent Tokyo 2023に出展
UNKNOWN ASIA 2023に出展 レビュアー賞受賞
gekilin. group exhibition " Legit" に出展(masan/korea)
中谷大知 印刷作品集出版記念展(osaka)
2024年
第67回芦屋市展 平面部門 入選(hyogo)
solo exhibition 「untitled」を開催(osaka )
GIAF gekilinブースから出展(masan/korea)
gekilin. group exhibition " wave" に出展(masan/korea)
gekilin. group exhibition " OSAKA DOPE" 出展予定(tokyo)
ナタリー、おなかがまるい展(仮) 11月 開催予定(kagawa)
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