PROFILE
プロフィール漫画の1コマあるいは1ページを、スクリーントーンに至るまで全て手作業で木製パネル上に再構成している。
これは物語の構成要素としての漫画のコマか、あるいは単なる絵としてあるものか、時制や空間性、媒体の有無といった異なる切り口からアプローチし、探っている。
▪️画像1枚目
展覧会の絵シリーズ(2025年)
個展 実験漫画 展覧会の絵(東京 TOH)
変形木製パネル・アクリル・インク
漫画の中の時間は、読者の視点の移動によって経過する。
視点を合わせているものが今で、それ以外が過去か未来、永遠に正面から見られないパースのついた絵は、初めから過去として生まれた過去か、永遠にやってこないままの未来である。
壁面にパースの効いた、斜めから見たような形の絵画を掛け、糸でパースの線を引き、実際のギャラリーに、架空のパースペクティブを出現させた。
それにより、この壁面で時間は経過しない。「中央の絵を見ている場面」という時制に釘付けられている。
▪️画像2枚目
『漫画のための絵画』(2024)
B2 木製パネル・アクリル・インク
2枚目の画像は、2024年に実業之日本社から出版された『ベル・リュエル 2e カモメ通り』(リュエルコミックス)に掲載された15ページの漫画作品の原稿である。
原稿であると同時に、わたしが普段描くように、A2サイズの木製パネルにジェッソを重ね、アクリルとインクで描かれた絵画でもある。絵画を15枚描き、その物撮りをし、入稿した。描いた後は、2025年のTOHでの個展で絵画として展示販売され、いくつかは売約に至り、それらは通常のわたしの作品と同じように、絵画としての平凡な運命をたどった。
写真にあるように、この作品群には、折れや破れの修繕痕を絵の具で描写した箇所がある。これは入稿され、漫画の1ページとして印刷・流通された際には不良品と誤認され、書店からの返品が相次いだという。漫画の原稿としては歓迎されない特徴だったかもしれないが、木製パネルに支持された「漫画の紙面を描写した絵」として捉えるなら、それは、たんなる絵画の中の描写が、現実の出来事と接続し得たということになるのではないだろうか。
開催した個展の会場で、あるいはポートフォリオを見せた場で、「あなたはいったい美術をやりたいのか、あるいは漫画をやりたいのですか」ということをよく聞かれるが、わたしが作りたいものは、少なくとも誰が見ても美術らしく、あるいは漫画らしく見えるものではないと思う。漫画として/美術として、置かれた状況によって、自身の持つある一つの特徴を、是と非を自在に往来させられるものであればいいと、そういうふうに思っている。
そして、それを鑑賞者が漫画と捉えるか、美術と捉えるかを問うているような気がする。
▪️画像3枚目
『The Catcher in the Rye 』(2020)
F120
木製パネル・アクリル・インク・メディウム
120号の木製パネルに、漫画用原稿用紙の規格の線、青色の下書きの線、ペン入れの黒い描線、スクリーントーンとその切れ端、吹き出しに貼られたアンチゴシック体などを描いた。
漫画の書き手が費やした時間は原稿用紙にレイヤー状に滞積する。
生原稿を見ると、そこに描かれた内容よりも、それがいかにして描かれたかがいつも色濃く立ち上り、わたしはそれだけを描いた。
これは物語の構成要素としての漫画のコマか、あるいは単なる絵としてあるものか、時制や空間性、媒体の有無といった異なる切り口からアプローチし、探っている。
▪️画像1枚目
展覧会の絵シリーズ(2025年)
個展 実験漫画 展覧会の絵(東京 TOH)
変形木製パネル・アクリル・インク
漫画の中の時間は、読者の視点の移動によって経過する。
視点を合わせているものが今で、それ以外が過去か未来、永遠に正面から見られないパースのついた絵は、初めから過去として生まれた過去か、永遠にやってこないままの未来である。
壁面にパースの効いた、斜めから見たような形の絵画を掛け、糸でパースの線を引き、実際のギャラリーに、架空のパースペクティブを出現させた。
それにより、この壁面で時間は経過しない。「中央の絵を見ている場面」という時制に釘付けられている。
▪️画像2枚目
『漫画のための絵画』(2024)
B2 木製パネル・アクリル・インク
2枚目の画像は、2024年に実業之日本社から出版された『ベル・リュエル 2e カモメ通り』(リュエルコミックス)に掲載された15ページの漫画作品の原稿である。
原稿であると同時に、わたしが普段描くように、A2サイズの木製パネルにジェッソを重ね、アクリルとインクで描かれた絵画でもある。絵画を15枚描き、その物撮りをし、入稿した。描いた後は、2025年のTOHでの個展で絵画として展示販売され、いくつかは売約に至り、それらは通常のわたしの作品と同じように、絵画としての平凡な運命をたどった。
写真にあるように、この作品群には、折れや破れの修繕痕を絵の具で描写した箇所がある。これは入稿され、漫画の1ページとして印刷・流通された際には不良品と誤認され、書店からの返品が相次いだという。漫画の原稿としては歓迎されない特徴だったかもしれないが、木製パネルに支持された「漫画の紙面を描写した絵」として捉えるなら、それは、たんなる絵画の中の描写が、現実の出来事と接続し得たということになるのではないだろうか。
開催した個展の会場で、あるいはポートフォリオを見せた場で、「あなたはいったい美術をやりたいのか、あるいは漫画をやりたいのですか」ということをよく聞かれるが、わたしが作りたいものは、少なくとも誰が見ても美術らしく、あるいは漫画らしく見えるものではないと思う。漫画として/美術として、置かれた状況によって、自身の持つある一つの特徴を、是と非を自在に往来させられるものであればいいと、そういうふうに思っている。
そして、それを鑑賞者が漫画と捉えるか、美術と捉えるかを問うているような気がする。
▪️画像3枚目
『The Catcher in the Rye 』(2020)
F120
木製パネル・アクリル・インク・メディウム
120号の木製パネルに、漫画用原稿用紙の規格の線、青色の下書きの線、ペン入れの黒い描線、スクリーントーンとその切れ端、吹き出しに貼られたアンチゴシック体などを描いた。
漫画の書き手が費やした時間は原稿用紙にレイヤー状に滞積する。
生原稿を見ると、そこに描かれた内容よりも、それがいかにして描かれたかがいつも色濃く立ち上り、わたしはそれだけを描いた。
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CAREER
経歴1995年生まれ。2018年、京都造形大学情報デザイン学科 イラストレーションコース卒業後、作家活動を始める。
2018 年
・個展『実験漫画 前夜』( 東京 Ondo stay&exhibition)
2019 年
・個展『実験漫画 ( コミックは ミュージックのように vol.1)』( 京都 kunst arzt)
・個展『実験漫画 ( コミックは ミュージックのように vol.2)』( 東京 亀戸アートセンター )
2020 年
・公募展「漫喜利」AIG 賞 優秀賞
・個展『実験漫画 ( コミックは ミュージックのように vol.3)』( 旭川 野村設計倉庫 )
2021 年
・「Be at studio Harajuku) オープニング 展示 ( 東京 ラフォーレ原宿 )
・個展『実験漫画 ( コミックは ミュージックのように vol.3.5)』( 東京 108)
・個展『実験漫画 ( コミックは ミュージックのように vol.4)』( 京都 cocoto)
・個展『実験漫画 ( コミックは ミュージックのように vol.5)』( 大阪 gallery shop marco)
2022 年
・個展『実験漫画 ( コミックは ミュージックのように vol.6)』( 東京 亀戸アートセンター )
・公募展メタセコイアアートキョウマチボリ ( 大阪 )
・グループ展 『The situation 』( 東京 Yugen gallery )
・公募展「Hidden talent art awards」ファイナリスト選出(ロンドン)
・グループ展 「A4WALL Taipei」(台北)
2023 年
・グループ展『池袋モンパルナス回遊美術館 池袋アートギャザリング selection』加藤栄三・東一美術館
・グループ展 『ニニフニ』( 東京 帝国ホテル medel gallery shu) ・個展『実験漫画 ( コミックも時にはパレードのように )』( 東京 TOH)
・グループ展 『WHAT CAFE special market』寺田倉庫 WHAT CAFE
・グループ展 『Junction』京都 蔦屋書店
2024 年
・グループ展『裏マンガミュージアム』(京都 ビニールテープ)
・個展『実験漫画 ( コミックも時にはパレードのように vol.2)』( 東京 亀戸アートセンター
2025年
・個展『実験漫画 展覧会の絵』(東京 TOH)
2018 年
・個展『実験漫画 前夜』( 東京 Ondo stay&exhibition)
2019 年
・個展『実験漫画 ( コミックは ミュージックのように vol.1)』( 京都 kunst arzt)
・個展『実験漫画 ( コミックは ミュージックのように vol.2)』( 東京 亀戸アートセンター )
2020 年
・公募展「漫喜利」AIG 賞 優秀賞
・個展『実験漫画 ( コミックは ミュージックのように vol.3)』( 旭川 野村設計倉庫 )
2021 年
・「Be at studio Harajuku) オープニング 展示 ( 東京 ラフォーレ原宿 )
・個展『実験漫画 ( コミックは ミュージックのように vol.3.5)』( 東京 108)
・個展『実験漫画 ( コミックは ミュージックのように vol.4)』( 京都 cocoto)
・個展『実験漫画 ( コミックは ミュージックのように vol.5)』( 大阪 gallery shop marco)
2022 年
・個展『実験漫画 ( コミックは ミュージックのように vol.6)』( 東京 亀戸アートセンター )
・公募展メタセコイアアートキョウマチボリ ( 大阪 )
・グループ展 『The situation 』( 東京 Yugen gallery )
・公募展「Hidden talent art awards」ファイナリスト選出(ロンドン)
・グループ展 「A4WALL Taipei」(台北)
2023 年
・グループ展『池袋モンパルナス回遊美術館 池袋アートギャザリング selection』加藤栄三・東一美術館
・グループ展 『ニニフニ』( 東京 帝国ホテル medel gallery shu) ・個展『実験漫画 ( コミックも時にはパレードのように )』( 東京 TOH)
・グループ展 『WHAT CAFE special market』寺田倉庫 WHAT CAFE
・グループ展 『Junction』京都 蔦屋書店
2024 年
・グループ展『裏マンガミュージアム』(京都 ビニールテープ)
・個展『実験漫画 ( コミックも時にはパレードのように vol.2)』( 東京 亀戸アートセンター
2025年
・個展『実験漫画 展覧会の絵』(東京 TOH)
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