PROFILE
プロフィール1985年 山梨県生まれ
現在 岡山県在住
このプロジェクト《∅ → U(空集合からあなたへ)》は、AI時代における肖像の再構築を試みるものです。特定の人物を描くのではなく、私はまず「誰にも属さない平均的な顔」をAIに生成させることから始めます。それは記憶ではなく、データによって構築された顔——どこか見覚えがあるようで匿名的な、統計的な残響にすぎない顔たちです。
こうした無名の顔に対して、私は筆跡や色彩の面を手描きで介入させます。目的は、画像を完成させたり修正したりすることではありません。むしろAIの滑らかで無機質な論理に対し、人間のためらいや物質的な質感、時間的なずれを挿入し、流れを「中断」することにあります。
その結果として生まれるのは、意味がもはや被写体の中にあるのではなく、鑑賞者の視線によって立ち上がるようなハイブリッドな肖像です。本プロジェクトは、作者性・アイデンティティ・所有といった概念が不安定化する現代において、「肖像を描く」とは何を意味するのかを問いかけます。
誰にも属さないこの顔は、一体誰のものなのか?
誰も存在しない場所に「誰かを見る」とは、どういうことなのか?
その問いに対する答えは、観る人それぞれが感情や記憶、既視感などを投影することで、空白の中に像を「完了させてしまう」行為そのものの中にあるのだと、私は考えています。
《∅ → U》は単にAIをテーマとした作品ではありません。
これは、知覚の構造そのものが変化しつつある時代において、私たちがどう感じ、問い、つながるのか——不確かさを抱えたまま像と向き合う、その新しい可能性を探る試みです。
このプロジェクトの出発点となったのは、「誰にも属さない顔」があふれかえる現代社会に対する、募る違和感でした。
AIが生成する画像、SNS、広告など、私たちの身の回りは、どこか見覚えがあるのにアイデンティティを持たない顔に満ちています。それらはもはや伝統的な意味での肖像ではなく、記憶ではなく、データから生成された構造体にすぎません。
私はこの現象に、私たちが生きる時代の強い象徴性があるのではないかと感じ
それを否定するのではなく、むしろ正面から関わろうと決めました。
無名で匿名的なAI生成の顔に、あえて自分の手で介入するという行為を通して、「いま肖像を描くとは何を意味するのか?」を問い直したかったのです。
対象が「誰でもない」とき、私たちはそこに何を見ているのか?
私たちは無意識に、その空白の中にどんな感情や記憶を投影しているのか?
誰もいない場所に「誰か」が立ち上がってしまう——
その瞬間こそが、現代における肖像表現の本質的な始まりなのではないかと、私は感じています。
translate
CAREER
経歴グループ展
2019年 TAMENTAI GALLERY Pop-Up Gallery Project #1(co-ba Hiroshima/広島)
2019年 「楽しみとともに生きる展」(直島・本村ギャラリー/香川)
2020年 瀬戸内アートコレクティブ「岡山駅南地下アート展」(岡山)/コラボレーション
2020年 「Art on Chocolate」(alfer/岡山)
2020年 瀬戸内アートコレクティブ『RE:PLAY! - Play Here Again -』(栗林山荘スペクタクルシアター/香川)/コラボレーション
2021年 ヒーリングコテージOHANA「Three OHANA」制作
2023年 岡山駅南地下アート展(岡山)/コラボレーション
2023年 ART FAIR ASIA FUKUOKA
2024年 岡山駅南地下アート展(岡山)/コラボレーション
主な展覧会
2005年 「GEISAI#9」(東京ビッグサイト/東京)
2008年 「GEISAI#11」(東京ビッグサイト/東京)
2011年 TWS-EMERGING 2011(トーキョーワンダーサイト本郷/東京)
2011年 Wonder Seed 2011(トーキョーワンダーサイト渋谷/東京)
2011年 東京ワンダーウォール2010(東京都庁/東京)
2013年 Tokyo-GA II「Patterns of Emotional Landscapes」(東京都美術館/東京)
2021年 個展「Flowers」(直島・宮ノ浦ギャラリー/香川)
アートフェア
2023年 ART FAIR ASIA FUKUOKA
2024年 ART FORMOSA(台北)
- 2025年 ART FORMOSA(台北)
レジデンスプログラム
2011年 Saari Residence(Koneen Säätiö/フィンランド)
出版
2025年 The AI Art Magazine - Number 2
e
translate